病気の進行が早い『糖尿病性腎症』

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 一口に、腎臓病といいますが、その中にはさまざまな種類の腎臓病があります。

近年、透析に入る患者さんで、一番多いのは糖尿病性腎症の患者さんです。

日本透析医学会によれば、2013年に糖尿病性腎症から透析になった人は43.8%であり、第2番目の慢性糸球体腎炎からの18.8%を大きく上回っています。

 

病気の進行の早さがわかる2つの事例

たった1年で透析準備になってしまった事例

【事例】 Aさん(68歳・男性)の場合

もともと糖尿病で循環器内科にかかっていたAさんは、1月の血液検査で、主治医からクレアチニンの数値が1.2で腎臓も悪くなってきたと告げられました。

しかし、先生はそう告げただけで、治療が特段変わったということはありませんでした。今までと同じ治療が続き、6月には2.5翌年の1月には5.1になっていました。

このとき、主治医からはじめて腎臓内科へ行くよう指導されたそうです。

落ち着いた主治医の態度から、Aさんは腎臓病と言ってもまだ軽い段階だろうと高をくくって気軽に腎臓内科を受診しました。

すると、血液検査表を見た腎臓内科の医師からいきなり

「透析の準備をしましょう」

と言われ、驚いてしまいました。
透析を避けたいと思いインターネットを調べ、静岡にやってきました。

糖尿病を患っていなければ、クレアチニン1.2ですと、透析までの期間は10年から20年と言われています。

しかし、Aさんの場合は、

たった1年で透析の準備に入るところまで来てしまったのです。

 

7ヶ月で透析に入ることになった事例

【事例】 Bさん(56歳・男性)の場合

下はBさんの血液検査表です。

糖尿病性腎症の怖さ2

ご覧のとおり、Bさんは、2012年3月23日クレアチンが3.31でしたが、7ヵ月後の11月9日には7.21となり透析に入ると告げられました。

この間わずか、7ヶ月です。

腎臓の残存機能は3月の時点では18、11月には、7になってしまいました。

なぜこんなに短期間に透析の準備に入ることになってしまったのでしょうか。

 

なお、透析の準備に入る時期は、AさんとBさんでクレアチニンの数値が違っています。
日本透析学会のガイドラインには一応の原則はありますが、準備開始時期は、医師に任されており、患者さんの容態によってまちまちです。

 

透析を回避するためにしなければならなかった4ポイント

2人が、腎臓病と診断されながら、その治療が遅れてしまった原因について、以下の4つの課題に絞ってお話をしてみましょう。

①   糖尿病を患っていたこと。
②-1 主治医の治療方針を確かめていなかったこと
②-2 腎臓病の食事療法をしていなかったこと
③  血液検査表の見方を研究しなかったこと

 

課題1 糖尿病を患っていたこと

糖尿病は、血液中に糖が溜まり続ける(高血糖)病気です。

これにより、血液が汚れ、血管がぼろぼろになってしまうことによって、血液の循環が滞り、病気が長期にわたると体全体の臓器が疲弊して合併症を発症します。

糖尿病性腎症も腎臓の血管が詰まることから発症します。

2人とも、足のむくみや、かゆみ、高血圧など様々な症状に悩まされていても、糖尿病による症状だと思い込み、腎臓が壊れて発症していることを知りませんでした。

医師の指示通り糖尿病の治療を行っていたところに腎臓病と言われて驚いてしまったのです。

糖尿病になれば腎臓病を併発することを承知しておきましょう

 

課題2-1 主治医の治療方針を確かめていなかったこと

医師の中には、

「腎臓が悪くなっても、最後は透析があるから大丈夫」

と考える人がおります。

専門である病気(心臓病や糖尿病)の治療を優先し腎臓病は後回しになってしまいます。

「透析の準備のために腎臓内科へ」

といわれると、患者さんにとっては突然の宣告ですが、医師からすると、引き続き治療を行っていることになるのでしょう。

 

課題2-2 腎臓病の食事療法をしていなかったこと

2人の医師はそろって、糖尿病の治療を優先していたようです。

このため、腎臓病と分かっても、タンパクの摂取を抑えた腎臓病食に切り替えることなく、高たんぱく低カロリーの糖尿病食を取り続けました。これにより、クレアチニンの数値が一気に上がってしまいました。

 

課題3  血液検査表の見方を研究しなかったこと

糖尿病の病状をはかる、ヘモグロビンA1cの数値は、一般的に、長ければ半年に1回、短くても3ヶ月に1回くらいのスパンで血液検査を行います。

ところが、クレアチニンの数値は短いスパンでの変化が激しく、クレアチニンが2.0を超えたら、1ヶ月おきに血液検査をしなければ病状の把握ができません。

2人とも、ヘモグロビンA1cの検査スパンであったため、医師は、クレアチニンの数値の上昇に気付かなかった可能性があります。
また、腎臓内科を受信するまで尿検査をしていなかったと言います。
主治医から腎臓も悪くなってきていると言われたら、糖尿病の検査表に、腎臓に関する検査項目と尿検査の項目を追加してもらいましょう。

 

おわりに

この2人は、病気が進み、突然透析と言われ慌てふためいてしまいました。
悔いのない治療を受けるためには、

自分の病気は自分で管理しましょう。