透析までのリスクマネジメント

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同じ数値でも、病気を受け止める意識は大きく違う

今回は、腎臓病に関するセミナーに参加された方々の背中を見ながら、感じたことをお話しましょう。参加者の多くは、病期が初期の人達で、クレアチニン値が1.0~2.0の人がほとんどでした。

普通、クレアチニンの数値が低いと、腎臓病の症状がなく、

「まだいいや」

という気軽な気持ちの人と、

「1.0台とは言え、既に腎機能が40%しかない、なんとかせねば」

と、数値を深刻に受け止めて聞き入る人と、大きく2つに分けられます。

今回の参加者は後者の方が多く、セミナー中、自分の血液検査表を机に広げ、講師の話に大きくうなずき、一心にメモを取る姿が印象的でした。

その緊張感がスタッフにも伝わってきました。

 

「マイナスの楽観主義」の克服が大切

人間は、生来楽観主義者だそうです。

認知神経科学者のターリ・シャーロット氏は、リスクとの付き合い方を、様々な条件下で低周波を使い、脳波を刺激して人生にプラスに働く楽観主義と、マイナスの楽観主義について考察しました。

その結果、人類の80%は、現実をより楽観的に捉えていると説いています。

彼女は、このプラスの楽観主義が人を成功に導いたり、幸せにしているといっています。
反面、楽観主義であるがゆえに、大きなリスクから目を背けてしまい、大きな失敗を引き起こす原因になっている場合もあると警告もしています。

楽観主義の光と影を理解し、正しく付き合っていくよう促しています。
マイナスの楽観主義を克服するリスクマネジメントを、作成することが大切だと説いています。

 

人にはプラスとマイナスの「楽観主義者」がいる

彼女によると、無知であれば、リスクの怖さを知らないので何の不安も感じません。
しかし、リスクの全貌は分からないが多少の知識があると、不安がどんどん膨らんでいき、その不安に耐えられなくなります。

ここで人は2つに別れます。

リスクを検証し、リスクに備えて安心する人。これをプラスの楽観主義者といいます。

ところが、不安を感じながらもそれに目を背け、不安におびえながら日々を過ごす人。このような人をマイナスの楽観主義者にといいます。

 

「マイナスの楽観主義」は克服しなければならない

腎臓病患者さんは、自分に降りかかるリスクに対してどの様に対応をしているのでしょうか。
腎臓病の患者さんの中には、

「症状が出ないのは、私の腎臓病は進行しない種類だからだ」

とか、

「僕だけは透析にはならない」

と、何の根拠もなく嘯いている人がいます。
このような人達をマイナスの楽観主義者といいます。

全く根拠もなく「私は透析にならない」と言うのは、いつかは透析になると、自分に降りかかるリスクを分かっていながら、リスクが怖くて意識的に目をそらそうとする心理が働いた結果でしょう。

こういう人は目をそらし続けて、

「いきなり透析すると言われた」

と言って不満を漏らしながら、慌てふためくのです。
このようなマイナスの楽天主義は克服しなければなりません。

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腎臓病患者はマイナスの楽天主義におちいりやすい

Aさんが腎臓病と診断されたとしましょう。

Aさんにしてみれば、

「腎臓病ってどんな病気?」
「いつかは透析になってしまうの?」

と、不安と疑問が頭の中をめまぐるしく駆け巡ります。

そのとき、医師は、透析を回避するために

「塩分のとり過ぎに注意してください」

と、一言注意を与え、治療は

「様子を見ましょう」

と言って特段の施術は行いません。
Aさんが病気について質問すると、ネットで調べることを勧める医師もいるようです。

このように、ほとんどの患者さんは、自分の腎臓病がどんな病気か分からず、病気との付き合い方も分からず、いつ透析になるかも分からない状態で放置されます。

このため、腎臓病にはどんなリスクがあり、そのリスクをどのように克服したらよいか教えてもらえません。

「今は症状がないから病気ではないかもしれない」
「放って置いても来るものはいつか来るさ」

と、透析の不安を感じながらもリスクを放置しがちです。

Aさんを診断した医師のような対応では、腎臓病患者がマイナスの楽観主義者になるのも無理はありません。

 

お医者さん用のリスクマネジメントはたくさんある

お医者さんのリスクマネジメントはいくつもあります。
お医者さんは患者さんの命を預かって治療を行っています。日々、リスクの塊のような環境で仕事をしています。

そこで、事故をを起こさないよう、あらゆるリスクを抽出し、危機の芽を摘み取ることを心掛けています。

治療のリスク、手術のリスク、病院経営のリスク、医療器具の取り扱いに関するリスク、手術におけるリスク、モンスターペイシェントへのリスク等々あらゆるリスクを想定してマネジメント(管理方法)が準備されています。

 

患者目線に立った透析までのリスクマネジメントはない

近年、腎臓内科を持つ総合病院や大学病院が、ホームページで腎臓の機能や腎臓病の種類、腎臓病とは何か、どんな治療をするか等々詳しい解説を行うようになってきました。

大変参考になりますから是非読んでみてください。

しかし、ここに書かれていることは、医師の研究成果であり、医師から患者に対する上から目線のメッセージです。

患者が、病院から帰った後どんな生活をしたら良いか、何を食べたら良いか、どの程度の運動をしたら良いかなど、患者目線のリスクマネジメントはありません。

病気を治すのが医師の本分であることは分かるのですが、これからの医療界には、病気にならないような呼びかけや、患者用のリスクマネジメントに関する本の出版が求められています。

 

セミナーの話は腎臓病患者さんへのリスクマネジメト?

今日のセミナーで、講師は、透析前の腎臓病患者さんに対して、資料を示しながら透析に入らないようにするために以下のようなことを話していました。

  • 自分の病気を知ること
  • 血液検査表の見方
  • それにあわせた食事療法
  • 更に糖尿病性腎症の食事療法の在り方
  • 尿酸値の下げ方
  • 弱った腎臓を元気にする方法
  • 血流改善のための正しい姿勢や歩き方
  • 自律神経のバランスの取り方
  • 腎臓病患者特有の水分の取り方

・・・など。

内臓トレーニング実践者の実践例を挙げながら、病気の進行とともに発生するリスクを如何に管理するか約2時間にわたって解説をしていました。

 

透析までのリスクマネジメントまとめ

私たちのマニュアルは、まだまだ完成度は低く、腎臓病患者さんが満足するような仕上がりにはなっていません。それでも腎臓病との付き合い方であり、透析を延伸させる方法について述べています。

セミナー終了後の、皆さんの納得した明るい笑顔をみて、内臓トレーニングが役立っていることを確信しました。

お医者さんに病気治療のリスクマネジメントについて本を出して欲しいと要望しました。
しかし、3分診療で毎日50人から60人を治療する医師に対して無理な注文かもしれません。

ネットを見ればたくさんの情報が飛び交っています。病気になったのは患者さんです。
患者さん自身が勇気を持って病気に対峙する方が本筋かもしれません。

 

ABOUTこの記事をかいた人

当協会は、健康法「内臓トレーニング」の普及を目的に設立されました。この健康法は血液やリンパの流れを促し、神経の情報伝達機能の活性化を図ることにより、自然治癒力を高めるものです。