腎臓病を治す万能な薬はない
腎臓病には、
●糖尿病から発症する腎臓病
●糸球体という腎臓の器官が壊れて発症する腎臓病
●腎臓の血管が硬くなることによって引き起こされる硬化症
などたくさんの種類があります。
このため、これらすべての腎臓病を治す薬はありません。
血圧を下げるための薬であったり、尿酸値を高くしないための薬であったり、むくみを取るための薬であったりと、すべて症状を治す薬です。
現代の医学は、それぞれの症状の原因を解明し、原因毎に対応する薬を開発することに集中し、大きな成果を生んできました。
腎臓病患者に優しい尿酸の薬の開発
例えば、腎臓病患者さんが苦しむ症状に痛風があります。
痛風は血中で尿酸が結晶化することによって発症します。
このため、尿酸を作り出す酵素の働きを抑えるアロプリノール(商品名:ザイロリックなど)、尿酸排出促進剤としてのベンズブロマロン(商品名:ユリノーム)が開発されてきました。
しかし、ザイロリックには尿が出なくなったり、血尿が出たり、むくみやかゆみが出るなどの副作用があり、ユリノームには尿中に尿酸をたくさん排出することによって結石ができるなど両方とも腎臓病患者にとって好ましくない副作用がありました。
現在は、腎臓病患者さん用に、上記2つの薬の良いところを併せ持ち、ほとんど副作用のない、フェブキソスタット(商品名フェブリックなど)が開発されました。
腎性貧血の薬の発明
腎臓病患者さんに共通する症状の一つに腎性貧血というものがあります。
腎臓には、エリスロポエチンというホルモンがあります。
このホルモンは、ヘモグロビンを造る働きを促すもので、病気が進行してくると、このホルモンの働きが衰え赤血球の数が減ってきて、貧血を起してしまいます。
この機序が解明されたことにより、エリスロポエチンを人工的に生成したエリスロポエチン製剤が発明されました。
それでもなお腎臓病は不治の病
このように、医学は体の仕組みを解明し、病気の原因を突き止め様々な症状を研究してきました。
この結果、症状を治すための薬がたくさん開発されてきました。
しかし、腎臓や肝臓のように臓器が複雑になればなるほど、病気の発症原因も多様であり、すべての発症原因に対応するだけの薬は解明されていません。
このため、腎臓病は不治の病と呼ばれているのです。